高齢化社会、歯科のジレンマ |
投稿:shuji Kamiya |
去る11月11日の日曜日、刈谷市産業振興センターにて毎年恒例の8020表彰がありました。 しっかりと機能している20本以上の歯をお持ちの今年度中に80才になられる市民、200名近くを刈谷市歯科医師会が表彰させていただくというものです。竹中市長さんからのお祝いの言葉や刈谷警察署長さんから高齢者を対象に頻発している詐欺事件への注意などもあり、たいへん有意義な内容でした。 ところで8020について、個人的には少し考えさせられることがあります。 誤嚥性肺炎って、ご存じでしょうか?ヒトは鼻で息をして、口から食べたり飲んだりするのですが、鼻と口はつながっているので口からでも息をすることができます。 つまり口と気管から肺はつながっているのです。では、なぜ食べ物が肺に行かずに胃の方にむかうのでしょうか。 それは、喉頭というところで肺の方に食べ物・飲み物が入らないように仕分けしているのです。 まれに仕分けに失敗してもいわゆる「むせて咳き込む」ことで肺に行かないように文字通り「せき止める」わけです。 ところが、病気やケガ、ご高齢で体力が落ちると咳き込むことができなくなる場合があります。結果的につまることなく肺に入ってしまった病原菌を含む食物・飲み物・唾液はそこで感染源となり多くは肺炎を起こします。これが誤嚥性肺炎です。 おいしいものが口から食べられることは大きな楽しみです。口から食べられなくなったり、誤嚥しやすくなると胃にチューブをいれて栄養を送り込むことになりますが、それは楽しみが失われてしまうことにもなります。元気なうちは、つまり咳き込むことができるだけの体力があるうちは歯があって何でも食べられることはとてもおめでたいことです。しかし、咳き込むことができなくなり、手入れも行き届かなくなると途端に歯があることが誤嚥性肺炎の誘因となるわけです。 歯を残すことと、歯を抜くこと、どちらがその方にとってベターかはひとくくりに決められないことがあるように思えます。 一般的に8020は健康の証かもしれませんが、歯を残した方が幸せか、残さない方が幸せか----その判断は、その都度、われわれ歯科医がしなければなりません。 |
2018年11月24日(土) |
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